契約の確実性

contract-law

ほとんどの人が契約について話をするとき、当事者間で話し合いをして、同意したことを書き取るものだと思っています。法律の専門家の目で見ると、それは、そんなに単純なことではありません。契約書を作るときは、多くの要素を考慮しなくてはならないのです。“契約の確実性の原則”は、契約書作成時に頭に入れていなくてはならない、もっとも重要な要素のひとつです。

“契約の確実性の原則”は、判例法のもと、できあがった法律の原則です。この原則では、契約の成立について述べています。「合意とは、明確にそれがわかり、重要事項について当事者同士が合意したものでなくてはならない。さもなければ、合意とは認められない。契約書において、合意の確実性が十分でなく、また重要事項において当時者間の合意がなければ、その合意は無効となる」。

タイ王国の法律では、“契約の確実性の原則”を採択し、民法、商法366節の第1項に規定してある。
366節「たとえ当事者一方からの申立てであっても、それに対する当事者双方の、絶対的な合意があり、疑問がない場合のみ、その契約は締結する。契約にあるすべての点において、当事者双方が合意に達していないときは、その契約は締結するものではない。ある特定の点に関して、了解しているのみでは、たとえそれらが書き記されたとしてもその契約は拘束力がない」。

この原則は、最高裁判所の判例3874/2549号に見られるように、実際の法廷で使われている。この判例では、債務者が金融ローンを支払う代わりに、債権者へ地所を譲渡することに合意している。地所の値段は、実際の借金の金額より低かったので、債務者は債権者に、地所の譲渡に加えて、追加金を払うことに合意した。しかし、この追加金の金額が双方によって合意に達しなかった。最高裁は、以下のように判決を下した。地所の譲渡に加えて債権者へ支払われる追加金額が、当事者双方で合意に達しなかった(契約の不可欠事項)ので、民法、商法366節の第1項によって、この合意は締結するものではなく、従って、有効ではないと結論づけられた。結果、本件の債権者は、この地所に関し、何ら権利を持つものではない、ということになった。

さらに詳しい情報は

・契約書に書かれたすべての取引条件が、法的に拘束力を持ち、有効であることを確かなものにするために、契約書を作成する際には、この“契約の確実性の原則”を心に留めておくことが、大変重要になります。契約文書の作成をお考えでしたら、JNP法律事務所(JNP Legal Co., Ltd.)まで、今すぐご連絡ください。 当事務所の専門弁護士が、ご相談やお問い合わせに応じます。